あらすじ
沢村莉子、28歳。アパレル店員。
バーで出会った男性・桐谷隆志に惹かれ、交際を始めた。優しくて、いつも私を褒めてくれる。こんなに愛される恋愛は、初めてだった。
でも——彼には、妻がいた。
「妻とは冷え切ってる」「もうすぐ離婚する」そう言われて、私は信じた。罪悪感はあった。でも、止められなかった。彼がいない生活なんて、もう考えられなかった。
ある日、デート中に偶然見てしまった——隆志の家。窓から見える妻の姿。疲れ果てた表情で、それでも隆志に話しかけている彼女。隆志は、スマホを見ながら適当に返事をするだけ。
「私、何をしてるんだろう……」
違和感は、どんどん大きくなる。隆志の言葉に、矛盾が増えていく。妻への愚痴は激しくなり、時折見せる冷たい表情。それでも、私は離れられなかった。依存していた。
そして——運命の夜。
「離婚することにした。莉子と結婚したい」
その言葉に、涙が溢れた。ようやく、正式に一緒になれる。罪悪感も、全部消えた——はずだった。
翌日。妻・美咲が交通事故に遭い、死亡した。
「これで自由になれた」と笑う隆志。その笑顔の奥に潜む、何か。恐怖が、背筋を走る。
スマホに残された不審なメモ。横領、借金、そして——美咲の死の真相。事故ではなく、計画的な殺人だった。
「次は、私が殺される——」
その予感は、的中した。階段で背中を押される。「邪魔だ」という隆志の声。
意識が遠のく中、私は願った。「誰か……私を、救って……」
※本作は「サレ妻、愛人に転生する」の前日譚です。本編を未読でも楽しめますが、本編を読むとより深く理解できる内容になっています。
愛人として生き、被害者として死ぬ——これは、莉子の懺悔録。