あらすじ
『運だけで世界を生き抜くトオル』
この世界の人間には、誰しも“ステータス”ってやつがある。
力とか、知恵とか、魔力とか、運とか――まあ、そういう、人生のスペック表みたいなもんだ。
普通はどれも最大値が100。
いわゆる「カンスト」ってやつ。
ところが俺――トオルだけは、ちょっとだけ仕様がおかしい。
いや、ちょっとどころじゃない。バグレベルだ。
俺のステータスの中で、唯一カンストを超えてる項目がある。
それが――
運:10019
……でもね。
ステータス画面には、**「19」**ってしか表示されないんだよ。
3桁までしか表示されない古代システムのバグで。
おかげで俺は、自分がとんでもない強運の持ち主だってこと、まったく知らずに冒険者になってしまった。
力? 平凡。
知力? 普通。
俊敏? なんか、むしろ遅い気がする。
――にもかかわらず、大怪我が一度もないのはたぶん、神様の悪ノリだと思う。
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俺のパーティーは3人。
そして、全員が何かしらズレてる。
まずは、魔法使いのミミ。
村でちょっとだけ賢くて、ほんの少しだけ魔力があったから魔法使いになった。
……が、その“ほんの少し”ってのが厄介で、どの魔法もちゃんと放てない。
火の玉を出そうとしたら煙。氷の矢を放とうとしても、ちょっと冷たい風。
まるでお試し版の魔法だ。
そして――やたら胸がでかい。
いや、正確には、胸も尻も腹もでかい。
顔はちょっとだけブチュ……つまり、“あんまり可愛くない”。
でもたまに、歩いてるときに胸が当たる。
その瞬間だけは、世界が少し明るく見える。
まあ、そんな彼女が冒険中に可愛くなるのは、よくある話のまた別の話だ。
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次に、弓士のタクト。
狩人の息子で、弓とナイフが使える。
……のだが、本人は「弓士」と名乗っている。
なぜかというと、狩人にはなりたくないけど弓は手放せないという、意味不明な理由だ。
「接近戦はイヤなんだよな。怖いし」
とか言いながら、なぜか俺の後ろじゃなく、横に並んで歩いてる。陣形なんてものは俺らには無い
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そんな俺たちの旅は、だいたいのんびりしてる。
命の危険? 一度もない。
なぜなら、俺の運が全部カバーしてるからだ。
崩れそうな橋は、渡り切った瞬間に落ちる。
毒ガスの罠は、俺たちが休憩してる間に風で流れる。
……神様、絶対どっかで俺を見て笑ってる。
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そんな俺にも、夢がある。
それは――貴族になること。
いい服着て、豪華な食事して、使用人に紅茶を淹れてもらって……。
ああ、想像するだけで幸せだ。
だがおそらく『運』がお前は貴族向きじゃない。
って言ってる気がする
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そして最後に、俺たちの最強の仲間。
喋る剣、《フォーチュナ・ロジック》。
四大精霊――火・水・風・土の力を宿した、SSランクの魔剣だ。
知的で、上品で、やたら理屈っぽい。
そしてだらしない俺ら3人とも怒られる。
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ま、そんなわけで。
俺たちの旅は今日も平和で、ちょっとアホで、たまに神様がイタズラしてくる。
けれど俺は信じてる。
この“運”のおかげで楽しく冒険することになる。