あらすじ
月収18万円のアキは、音声配信者「レイ」に月8万円を投げ銭していた。
顔を出さず、低音の囁き声だけで配信するレイ。
「アキちゃんは特別」「君がいてくれるから配信できる」
その言葉に、アキは世界の中心にいる錯覚を覚えた。
貯金が尽き、消費者金融で借りても、投げ銭は止められなかった。
そんなアキに、レイから一通のDMが届く。
「アキちゃんだけに、会いたい。条件は100万円」
アキは借金を重ね、指定された廃ホテルへ向かった。
部屋には、確かにレイがいた。あの声で、名前を呼んでくれた。
でも、レイには顔がなかった。
顔の部分が、スマホの画面になっていた。
画面には、リアルタイムで数字が表示されている。
「¥1,000,000」
レイがアキの頬に触れた瞬間、右目に激痛が走った。
鏡を見ると、右目が数字に変わっていた。
「これが、僕らの絆」
翌日、数字が減り始める。投げ銭しなければ、体が崩れていく。
アキは借金を重ね、両目、口、首、全身が数字に覆われていく。
総額1500万。借金は2000万を超えた。
「もう無理。殺して」
レイは答えた。
「殺せないよ。君が払い続ける限り、君は生きる」
配信画面には、新しいリスナーが現れる。
「レイくん大好き♡ 会いたいな」
アキは知っている。その子も、いつか数字になる。
そして、チャット欄に流れた一言。
「次は、あなたの番」
――投げ銭という愛は、終わらない地獄だった。