あらすじ
「彼女が欲しい! 恋人が欲しい! 運命の出会いカモーンッ!」
ダンジョン。それは希望と絶望が眠る地下世界にして、原因不明の時空間浸食現象による構造物。そこから生まれるモンスターは新時代の資源となり、人々は一攫千金を夢見て今日も地獄に身を投じる。
「俺は多くは望みません。だから金髪碧眼のお姉さん系ガールフレンドをくださいっ!!!」
西影ヒビキは企業に属さないダンジョン配信者であった。ささやかな夢を抱いて今日もダンジョンに潜るのだが、毎日の収穫は食費と家賃とその他諸々に消えていく。
そんな彼はある日、ダンジョンで窮地を救った配信者から自分を弟子にしてほしいと頼まれて、これを受諾し――その日から彼を巡る環境は一変した。
懇意にしているダンジョン運営センターの支部長の愛娘、スポンサーである嫌味な社長令嬢、装備のメンテナンスを一任している武器屋の女性店員の様子がなんだかおかしい。
◇◆
女の子を弟子に取ったからだって? いやいや、あいつは男だから。よしんば女だったとしても俺は男として扱うから。それが師匠と弟子ってモンだと俺は思うね。プライベートに踏み込み過ぎず、それでいて頼り頼られる関係こそ健全なのだ。
「は? 最低なのですこの変態配信者……。これはもうナナが手綱を握るほかないのです」
今の話のどこに変態要素があった親の七光り娘。
「甲斐性なし、意気地なし、器量なしの三重苦ね。ところであなたにお似合いの首輪があったの。ちょっとこっちに来なさいな」
待て話し合おう、スポンサー契約の解除をちらつかせるのは人道法違反のはずだ。
「有象無象に言い寄られて大変でありますね。まあ安心するであります、私が旦那様を守ってあげますからして!」
俺はお前の旦那などではないが。クスリでもやっていらっしゃる?
「あの、師匠。あの人たち無視してずっとダンジョンに潜るとかどうですか? ボクはかまいませんよ?」
おう、お前もか愛弟子よ。それは最後の手段に取っておこうね、笑顔が怖いぞ。