あらすじ
閉塞感が社会を覆う時代。
富士原りか。住所不定、ネットカフェ暮らし。社会から切り離され、誰からも必要とされない。金以外に興味はない。明日が来ることさえ、どうでもいい――そんな女だった。りかのような生活をする人間は、このご時勢ざらだった。社会が疲弊し、行き詰っている証拠でもあった。
ある冬の日、路上で凍えていた彼女に声をかけたのは、埼玉県の中小企業マキノファインテックの社員だった。提示されたのは、人型遠隔操作戦闘ロボット「アリーシャ」の操縦という奇妙な仕事。目的は「局所空間」と呼ばれる異世界に現れる敵性存在「シュロス」の殲滅。
給与に惹かれて契約したものの、りかの生活は何も変わらない。住む場所も持たず、誰に対しても攻撃的な態度をとり、職場では孤立する。指揮官の牧野ちえとは常に衝突し、作戦は失敗寸前を繰り返す。
だが、ある戦闘で追い詰められたとき、りかは初めて自分の意志で立ち向かうことを選ぶ—……「違う一日を過ごすの」
目指すものなどなかった。誰かに認められたいわけでもない。どうにかなりたいわけでもなかった。ただ、たった一つだけ手にしたかった。
閉塞感の中でもがき、小さな一歩を踏み出す再生の物語。
主な登場人物
富士原りか アリーシャの操縦者
牧野ちえ アリーシャプロジェクトの総合責任者
斉藤健二 アリーシャプロジェクトの技術責任者
注意:この小説には一部暴力的な描写、および性的な表現が含まれています。