あらすじ
川辺の砂から生まれた〈雲母の娘〉と、秋に赤く燃える〈あけしの娘〉。
風の郵便屋が届ける「こひ」の手紙、霜の検見、藍い灯を腹に宿す小さな魚――四季は静かにめぐり、ふたりの心は月の虹で結ばれていく。
本作は、自然と言葉が生きもののように息づく幻想童話調の百合連作。
別れと再会、火と光、冬眠と芽吹き。
「わたくしは、あなたがたいへんに、すきなのです」
――世界の音が少しだけ澄んで聴こえる夜に、ふたりは約束を重ねる。
◆登場人物
・雲母の娘:砂のきらめきから生まれた透明な少女。冷たい指先で、光を映す。
・あけしの娘:赤く燃える果実の精。短い季節の命だが、胸にぬくい鈴の音を持つ。
・風の郵便屋:川上と川下を行き来し、手紙と噂と季節のしるしを運ぶ。
・霜/月/藍い灯の魚:ふたりの恋を静かに見守る自然の証人たち。
詩的な短章で綴る、やさしく切ない少女同士の恋の物語。