あらすじ
大陸東方の小国・オルフェリア皇国は、長き戦の果てに滅亡の淵にあった。
十五歳で戦場に立った皇女アイリスは、幼い弟王を守るため自ら剣を取り、三年にわたって国を支えてきた。
しかし、もはや兵は尽き、明日には白旗を掲げるしかない。
降伏を決意した夜、突如として敵の襲撃を受け、アイリスは闇に倒れる。
目を覚ました彼女の前にいたのは、敵国ヴァラアニカ帝国の将――ユーフェイン。
冷たい金の瞳で彼女を見下ろす男は、幾多の戦場を制し「帝国の死神」と恐れられる存在だった。
アイリスは殺されず、鎖につながれたまま敵陣に囚われる。
戦いに終止符を打ったその夜、彼女の運命は新たな支配者の手に委ねられようとしていた。
――やがて、皇女は敗国の捕虜としてではなく、帝国の将の傍らに立つ「妃」として生きることになる。
けれどこのとき、誰もまだ知らなかった。
その出会いが、大陸の秩序を揺るがす始まりになることを。