あらすじ
『白い庭の彼へ ― 悪役令息、再び』
白い薔薇がそっと目を覚ます朝
冷たい風のなかで
君の手は、誰も触れぬ温度を抱いていた
静かに笑う庭の片隅
白百合はまだ眠り、雨音は小さな秘密を運ぶ
君の塩のような言葉が
私の胸に、そっと降り積もる
気弱な僕を、君は見逃さず
声少なに、肩越しに
世界の痛みを受け止めてくれる
その背中に、心を預ける夜
花は咲き、枯れ、また芽吹く
けれど君の優しさは変わらず
言葉よりも確かに
心の庭に根を張る
僕はまだ、うまく笑えない
君はまだ、強さを隠す
それでも、二人の影は
白い庭に溶けて、やわらかな光となる
春の風が吹き抜けるたび
僕は知る
愛されるとは、守られるとは
塩の奥にある甘さを知ることだと
白い庭の彼へ――
今日も、僕はそっと手を伸ばす
触れれば消えそうな光を
二人で確かめるために