あらすじ
神凪夕は、ただ強くなりたかった。家族に認められたかった。兄に追いつきたかった。自分の存在に、意味を持たせたかった。
運命のスキルオーブの儀式の日。彼が得たのは、誰もが予想しなかったスキル――【最弱者】。戦えない。癒せない。支えられない。それは、ただ“弱さ”を証明する烙印だった。
父は失望し、兄は嘲笑し、夕は家を追われた。唯一優しかった母の声だけが、彼の心に灯を残した。
それでも夕は、強くなろうとした。剣を握り、魔力を鍛え、“最弱者”という名を覆すために、ただ前だけを見ていた。
そんな彼の前に現れたのは、命を削る病【石化病】に侵された少女・澪。そして、澪の命を守るために暗殺者となった少女・彩音。
澪は言った。「誰も殺さないでほしい」その願いは、夕の心を揺らした。強さとは何か。守るとは何か。斬ることが、すべてなのか。
やがて、澪の力を利用し、彩音を爆弾で縛り、すべてを操る兄・朝が立ちはだかる。時間を操る最強のスキル【操作者】を持つ朝との戦いの果て――夕は、守るために初めて“斬る”ことを選ぶ。
これは、強さを求めた少年が、 本当の“守る力”に辿り着くまでの、 静かで鋭い下剋上の物語。