あらすじ
「この写真、何人写ってる?」
妻が見せてくれた家族写真。そこには確かに四人が写っているはずだった。
だが、背景の木陰に――五人目がいる。
白いシャツに黒いズボン。無表情でこちらを見つめる中年の男。
主人公の彼は確かにその姿を認識できる。しかし、妻も娘も義母も、誰一人としてその人物を「見ることができない」。
過去の写真を遡ると、結婚式、新婚旅行、娘の誕生日――すべての写真にその男は写っていた。最初は遠くの背景に。次第に近づき、今では家族の隣に立っている。
そして最新の写真では、男の手が彼の肩に置かれていた。
「誰だ、お前は――」
認識できるのは彼だけ。家族は何も見えないと言う。
だが、ある日妻が言った。「駅前であなたを見かけた」と。
彼は家にいたのに。
鏡を見る。確かに自分の顔だ。でも本当に?
娘が泣いた。「パパじゃないみたい」と。
男が消えた最新の写真。そこに写る「彼」の目は、どこか虚ろで――
残酷な描写は一切なし。ただ、日常が静かに侵食されていく心理的恐怖。
「本当の自分は誰なのか」という根源的な問いが、読むあなたの認識を揺さぶる。
読了後、あなたは必ず自分のスマホを開くだろう。
そして写真フォルダを見返すだろう。
そこに写っているのは、本当に「あなた」だろうか?
※この物語に明確な答えはありません。すべては読者の解釈に委ねられます。