あらすじ
雨男、雨女。
旅行やイベントの度に、必ず雨を連れてくる人に向けて投げられる、ちょっとした冗談。
けれどそれは、単なる偶然にすぎない。
なのに、人間は「自分のせいで雨が降った」と思い込む。
あるいは「彼奴がいるから雨が降った」と決めつけてしまう。
心理学ではそれを、コントロール幻想と呼ぶ。
自分の力ではどうにもならないはずの自然現象に、因果を見いだし、自身が支配しているように錯覚してしまう人間の哀れな心理の一つだ。
けれど。
雨戸家の人々にとって、それは単なる幻想ではなかった。
父も、母も、長女も、長男も。
彼らがどこかに現れるたび、空は曇り、やがて雨粒が落ちてくる。
冗談や比喩ではなく、それは殆ど呪いに近い確率で。
だから人は言う。
あの者達は、「雨を呼ぶ一族」.....「雨家族」と。
そして、その「雨家族」の観測者は───。
異世界と現代を繋ぐ、" 雨 "の物語。