あらすじ
『71歳レンタルおばあちゃん』
手のひらの皺(しわ)に、
昔の台所の湯気がまだ残っている。
孫のいない膝を、
小さな誰かの涙であたためたい。
「いらっしゃい」
と、今日も知らない玄関を開ける。
見知らぬ子のランドセルの鈴が
遠慮がちに鳴る。
──おばあちゃん、レンタルなの?
──うん、でもね、心は本物。
手をつなぐと、
年齢も契約も、風のようにほどけていく。
夕焼けが畳を染め、
味噌汁の匂いが、見えない家族を呼び寄せる。
ありがとうって言われるたび、
消えかけた灯が、胸の奥でまた灯る。
レンタルの時間が終わっても、
このぬくもりは、返さなくていいんだよ。