あらすじ
帝国・天曙(てんしょ)の都――
街医者の娘・ 瑠璃(るり) は幼くして一族を失い、ひそかに薬草採取と毒理知識を磨きながら細々と生きてきた。ある夜、不審な賊に襲われて攫われ、身寄りのない令嬢として後宮に下女奉公させられてしまう。
後宮には「呪い」と呼ばれる不吉な噂がささやかれ、皇子たちの謎の死や妃たちの失踪、侍女への濡れ衣など、不穏な事件が山積していた。薬師としての信念に駆られた瑠璃は、被害者の身体や化粧品を独自に調べ、毒物の痕跡を突き止めてゆく。
その才を、後宮で絶大な影響力を持つ宦官・ 紫苑(しおん) に見いだされ、皇妃 慧蓮(けいれん) 付きの「毒見役」に抜擢される。しかし、紫苑は単なる冷徹な宦官などではなく、人知れぬ秘密を抱えていた。次第に、瑠璃は宦官としての紫苑との関係を超え、国家を揺るがす陰謀へと巻き込まれてゆく。
やがて明かされる瑠璃の出生――花街の母・ 神楽(かぐら)、医官を志した師匠・ 羅門(らもん)、そして謎の実父・ 柊一(しゅういち)。それらが交錯する中、紫苑は実は皇弟であり、帝国内部に張り巡らされた派閥抗争の中心にいることが判明する。
瑠璃は拉致され、帝都は震撼。だが紫苑は軍を率いて救出に向かい、壮絶な戦いと裏切りの果てに命をかけて瑠璃を守る。顔に傷を負いながらも、紫苑は瑠璃を救い、国家の危機を回避するが、二人の道は始まったばかり。薬師として、推理者として、そして紫苑の右腕として――瑠璃は新たな事件と陰謀に挑んでゆく。