あらすじ
リンシィ・ヴェールは王都でも珍しい人形師。
その指先は、木や糸の奥に「心」を宿すことができた。けれど、貴族の青年エルマーはそんな彼女を嘲り、「人の心を操る不気味な女」として婚約を断ち切った。
婚約破棄を告げられた夜、少女リンシィはどれだけ辛くても、涙をこらえながら静かに微笑んだ。
彼女の傍らには、いつも「心」で創った人形——ミラがいるから、リンシィは頑張れるのだ。
『リンシィ、笑って。あなたの笑顔が、いちばん強いから』
そんな言葉に背を押され、リンシィは決意する。
嘲笑に屈することなく、「心のかたち」をミラと一緒に証明することを。
もうすぐ開催される王都の春季展示会。
リンシィは、ここでミラと「想い」を紡ぐ。
やがてその出来事が、貴族社会の虚飾をも揺るがしていく——。
これは、傷ついた少女と心を持つ人形が、芸術を通して「心」を描く物語。