あらすじ
サラリーマン・面迫拳(おもざこけん)、28歳。
仕事帰りに突然光に包まれ、目を開けるとそこは──見知らぬ森の中だった。
狼のような魔物に襲われ、命からがら叫んだその瞬間、拳の体が勝手に動く。
「助けてほしい!」
すると、見知らぬ力が腕に宿り、弓を引くようにして矢を放った。
魔物は一撃で倒れ、拳の前に現れたのは、冷静な瞳をしたエルフの少女・リリアだった。
彼が得たスキルの名は──【猫の手も借りたい】
発動条件は「本気で助けを求めること」
その瞬間、あらゆる存在の「手」を一時的に借り、その力を使うことができるという。
ドラゴンの手、エルフの手、魔族の手……
さらには神の手までも――。
だがその名の通り、「借りすぎ」は厳禁。
強大な力を使えば身体が壊れ、借りた存在たちが「恩を返せ」と押しかけてくることも。
拳はリリアと共に、戦乱の火種がくすぶる王国へ旅立つ。
旅の途中、無骨なドワーフ鍛冶師・ゴルドや、皮肉屋の元盗賊少女・ミーナら仲間を得ていく。
しかし、借りた手の主が次々と登場し、「俺の手を返せ!」と迫るトラブル続きの毎日。
猫の手どころか世界の手までも巻き込んだ珍道中が始まる。
それでも拳は諦めない。
「誰かを助けたい」と願う心が、彼を突き動かす。
ダサいスキル名でも、地味なサラリーマンでも──
“本気で助けを求める声”がある限り、
この世界の誰よりも強くなれる。
果たして拳は、借りた手で世界を救えるのか。
それとも――借りすぎて、世界にツケを払うことになるのか。
“誰かの手”が紡ぐ、笑いと絆と成長の異世界ファンタジー、ここに開幕。