あらすじ

桂綾人は、大学に入学したばかりの十九歳。見目良く生まれ成績もそれなり、両親との関係も良好で、友人たちにも好かれる、絵に描いたような好青年だ。  しかし、何でもソツ無くこなしてしまうためか、何事においてもやりがいを感じられず、 無気力な日々を送っていた。  唯一彼が持っていた願い、それは「誰かと相思相愛になり、その人と付き合う」こと。  ただ、彼に言い寄って来るのは見た目を気に入った人ばかり。そんな人たちを好きになることが出来ず、その願いはなかなか叶わずにいた。  そんな日々を過ごしているうちに、奇妙な夢を見るようになる。それは、年端も行かない少年が屈強な男たちに断頭台へと運ばれて行き、斬首刑に処されるというものだ。  恐ろしさのあまり飛び起きてしまうほどの実感を伴ったその夢は、その日以降彼を毎夜彼を苦しめるようになる。そうして次第に彼は眠る事が出来なくなってしまった。  そんな日々が続いて疲労が滲み始めた頃、今度は現実で不思議な出会いをする。長髪に平安時代の貴族のような着物姿のその男は、自らを神と言った。元々人として暮らしていたため名前を持っており、綾人に「貴人(たかひと)と呼べ」と言う。  貴人様は「お前には多くの人を殺めた過去がある。その罪を消すために、今世で百人の命を救わねばならない。私はそれを見守るために来た」と言った。そして、さらに残酷な運命を告げる。「それが出来ても出来なくても、お前は翌年の2月3日には亡くなる」綾人はその予言に戸惑いを見せる。  しかし、時を同じくして彼の周りで不可解な出来事が起き始め、 その言葉を信じるしかなくなってしまった。そうして神からの指示に従い、綾人は人助けをする日々を送ることになる。  小さな依頼をこなしながら罪を減らし、それをした日には綾人は貴人様から「浄化」という行為を受ける事になった。貴人様は穂村貴人(ほむらたかと)という人物に体を借りており、この浄化を行うために、綾人は毎日貴人と過ごすようになる。優しく思いやりのある貴人に、綾人は次第に好意を抱くようになっていった。  段々と浄化の時間以外も共に過ごすようになった二人に、綾人の友人である瀬川も加わり、彼らは三人でにぎやかな日々を過ごしていた。そんな折、瀬川が「人間では無い何か」に襲われる。  綾人は貴人様の指示で瀬川に襲いかかったものを退治するが、完全には祓いきれずにいた。瀬川は眠ったままになってしまい、綾人と貴人は逃げたものの正体を探る事になる。  調査中のある夜、綾人はライブ中のミュージシャンに刺されて倒れてしまう。その傷は過去の記憶を引き摺り出し、彼は自分が過去に陰間として生きていたことを知った。  そして、その前世の最後の記憶により、自分が誰かに殺されていたことも知る。しかも、貴人様はその最後の日を共に過ごした人物だった。  過去に自分を殺した人物がいて、今世でも誰かに命を狙われていると知った綾人。そんな彼の今世を見守るために、神となって現れた貴人様。そして、今世で彼を守ろうとする貴人。  二人分の体の中で交差する三人の想いと、過去を清算するための彼らの戦いの日々を描いた、和風転生ファンタジーです。

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カクヨム
カクヨム2025/10/10
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