あらすじ
「Ryanってダサいよね」
そう言われながらも、たった一人で彼らを応援し続けていた“私”。
電車の中で、偶然出会ったおばさまたちに推しの動画を見せたところ、思いがけず「なにこれ、すごくいいわ!」と絶賛される。
その瞬間、私は悟った。
Ryanが刺さらないのは“若者向けじゃない”からじゃない。“見せる相手”を間違えてたんだ。
私はSNS投稿ではなく、実際に「おばさまたちが集う場所」で布教することを決意する。
そして思いついたのが──銭湯。
地域密着で常連さんも多く、おばさまたちの憩いの場。
「銭湯でライブをさせてもらえませんか?」
事務所の力なんて関係ない。私は自分で交渉した。
当日。湯気の立ちこめる中、Ryanのトンチキソングが流れる。
タオルを肩にかけたおばさまたちが手拍子を始め、曲のサビで一緒に踊り出す。
“ダサかわいい”を“懐かしくて愛しい”に変える瞬間だった。
その様子がたまたまSNSに上がり、「令和のマッチ現象」として大バズり。
Ryanはテレビ出演が決定。
番組では「人気のきっかけは一人のファンの行動でした」と紹介され、VTRに映る私。
『こんな形で人気が出て、彼らが本当に嬉しいのか不安で…。迷惑じゃなかったらいいんですけど』
そのコメントに、Ryanのメンバーが笑って答える。
「迷惑なんかじゃないよ。ありがとう」
あの日、銭湯で生まれた奇跡のような熱気。
それが、Ryanと“私”の新しいスタートだった。