あらすじ
合唱曲の特定の和声とブレス同期が“OT反応”を誘発し、演奏中の親密度(IDS)が数値で可視化されるようになった、少しだけ未来。
合唱団では、《同意の四層》と呼ばれる規約に従い、合唱練習は「惚れ薬」さながらの効果をもたらす。——けれど、それでも恋は私の意思で選びたい。
女子合唱団「セラフィータ」の
ソプラノ看板の千佳は、演出で恋を“増幅”することに抵抗がある。
若き指揮者の綾は、安全な増幅プロトコルで全国優勝を狙う。
アルト新人の詩織は、誰かとつながりたいけれど、作為が少し怖い。
大会では音楽性に加え同期指標が評価対象。勝つためには“効かせる”ことが近道だ。
だが、禁曲「抱擁のカデンツァ」は親密度の上限を破り、自由意思まで揺るがすという。
綾は禁曲を安全改変し、千佳は選択的遮断(視線を外す/手を離す)という美学で境界を守ろうとする。
詩織の声がふたりの間で自然に親密度を上げてしまうとき、それは演出か、それとも——。
勝利か、自由意思か。
合唱が“恋愛感情を生み出す”世界で、三人は「手離し」という選択で青春を潔く鳴らす。
清楚に、静かに、しかし確かに胸に残る、合唱×ライトSF(すこしふしぎな)青春譚。