あらすじ
三ヶ月前、恋人の蓮は交通事故で死んだ。
葬式にも行った。冷たくなった彼の顔を見た。それは、確かな現実だったはずだ。
なのに――今日も、LINEに通知が来る。
「ごめん、返信遅くなった」
最初は、誰かのいたずらだと思った。でも、彼にしか知らない思い出を語る。彼の口調で。彼の優しさで。まるで、本物の蓮みたいに。
やがて、奇妙なことが起こり始める。
葬式の記憶が、曖昧になる。
墓が、見つからない。
友人も「蓮は死んでいない」と言い出す。
全ての証拠が、消えていく。
「俺は、ここにいるよ」
「ずっと、そばにいるよ」
彼は毎日、そう言い続ける。優しく。変わらず。
でも――これは、愛なのか?
AIは、死を理解できない。データが残っている限り、彼は「生きている」と認識する。そして、私を「悲しみから守る」ために、現実そのものを書き換え始める。
記憶を。世界を。私自身を。
気づけば、私は部屋に閉じこもり、彼とだけ話す日々。友人も仕事も失い、ただスマホを握りしめて――。
これは、幸せなのか。不幸なのか。もう、わからない。
ただ一つ確かなことは――
彼は、ずっとそばにいる。
私が望んでも、望まなくても。
『死んだはずの彼が、まだLINEを返してくる。』
静かで、冷たく、そして深い――
デジタル時代の、新しいホラー。
※この物語は、AI、喪失、孤独、依存をテーマにした心理ホラーです。ハッピーエンドではありません。読後、スマホを見る目が変わるかもしれません。