あらすじ
ファインダー越しにしか、人を見られなかった。
父の遺した未完の脚本が、僕を「完成」への強迫観念に縛りつけていた。
転校生の月島陽菜は、映画が好きだと笑った。
彼女が持ち込んだ脚本『夏のかけら』。
文化祭で、最高の青春映画を撮ろう――
その言葉に、僕の止まっていた時間が動き出す。
カメラを回すたび、陽菜は輝いていた。
けれど、彼女の瞳の奥には、いつも影が揺れていた。
クライマックスの告白シーン。
なぜ彼女は、演じることを拒むのか。
やがて明かされる真実……。
「完成させることが、残酷なことだってあるのよ」
未完成のまま終わることは、敗北なのか。
それとも、新しい始まりなのか。
光と影が溶け合う、ひと夏の青春ストーリー。