あらすじ

まだ国という概念もなく、川辺に寄り添って暮らす人々。小さな集落で幼い少年ラーは家族と共に生活していた。母は穏やかで優しく、父は力強く静かに家族を守る。姉はわがままだが、弟のラーを愛していた。 ラーは幼くして感受性が豊かで、自然や仲間の動きから多くを学び取ることができた。言葉はまだ「アー」「ウー」程度しか発せられないが、家族や仲間たちと微細な意思疎通を行い、遊びの中で学ぶ日々を過ごす。 川辺では、赤の子・緑の子・青の子など同年代の子どもたちがそれぞれ特徴を持ち、互いの色や動きで認識し合いながら遊ぶ。ラーはその中でも観察力に優れ、遊びを通して自然の流れや仲間の心理を見極める能力を発揮する。 しかし、平和な日々は永遠ではなかった。遠くの砂丘の端に小さな黒い影が現れ、空気に微かな違和感をもたらす。母はそれに気づくが、子どもたちはまだ何も知らない。 その瞳の奥には、まだ幼いながらも人々の営みや生き様を見つめ、世界を理解しようとする強さが宿っている。無意識のうちに、ラーは将来、多くの人々を導き、生きる秩序を形作る存在——エジプトの王となる運命を暗示させていた。 穏やかな川辺の暮らし、家族と仲間との触れ合い、自然の中での学び—— それらすべてがラーにとっての世界であり、やがて試練と悲劇が訪れる前の、かけがえのない日々であった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2025/10/08
  • 現在の作品Tweet