あらすじ
今にして思えば、本当に酷い時代だった。日本の長い歴史上、あれほど国土が蹂躙された時代はなかった。今でこそ世界中から観光客が押し寄せ、日本のクリーンな環境を褒め称えてくれるが、そんな時代が来るなんて、当時は想像も出来なかった。1970年代、日本は間違いなく世界一の汚染大国だった。川は汚れて悪臭を放ち、近海の魚は食べられず、大気汚染は深刻で、今では死語となった「光化学スモッグ」という言葉も生み出された。それでも、人々は明日に向かって懸命に生きていた。断って置くが、当時の日本人が不幸だったかと言うと、決してそんなことはなかった。時代は高度成長期の真っ只に在り、やがて日本の人口は二億人を超え、人口爆発を起こすと予測されていた。「少子化」なんて言葉は、存在すらしなかった。私が知らないだけかもしれないが、この時代を舞台にした小説は少ない気がする。日本人の誰もが、思い出したくもない黒歴史なのかも知れない。今回は短編小説なので、長々と梗概を書いても仕方がない。こちらも軽い気持ちで書き始めたので、軽い気持ちで読んで頂けたら幸いです。