あらすじ
「男性オメガは醜く、穢らわしい」
そう蔑まれ、王宮の塔に幽閉されたオメガの王子リシャルト。
絶望の中で死を待つだけの彼の許に、ある日突然『戦果の褒賞』として、国境の地ヴォルフスハイムの辺境伯ゲオルグへの輿入れが命じられる。
『劣等種』と嘲られる自分を、なぜ強大な軍事力を持つアルファの辺境伯ゲオルグが番に迎えるのか?その真意を測りかねるリシャルトを待っていたのは、豊かな自然と心温かい人々に満ちた「狼の故郷」だった。
そこで初めて知る世界の美しさ、人々の優しさ。そして、不器用ながらも誠実な愛情を注ぐゲオルグの存在が、深く傷付いたリシャルトの心を癒し、少しずつ解きほぐしていく。
一方、水面下では国を揺るがす陰謀が進行し、二人の平穏な日々を脅かそうとしていた。
なぜ、女神ヴェルケはこの世に男性オメガを作りたもうたのか。
男性オメガに隠された秘密とは……?
----------------------------------------------------------
【ネタバレあり】1200文字あらすじ
※コンテスト参加用
子を孕みにくい男性オメガは、激しい差別を受けていた。
ネーベルライヒ王国の第三王子リシャルトは、男性オメガだったために疎まれ塔に幽閉されていた。
そんなある日、突然、国境の地ヴォルフスハイムを守るゲオルグ辺境伯への降嫁が告げられる。
ゲオルグは国境紛争に勝利した英雄であり、リシャルトは「何の害も損もない褒賞」として政略結婚する事になった。
ヴォルフスハイムに輿入れしたリシャルトは、威圧感のあるゲオルグに怯えながらも、彼が『健康になるまで番の契りは結ばない』と告げられ、丁重に扱われる事に戸惑う。
ゲオルグが幼い頃に花冠の祝祭で出会い、誰にも受け取ってもらえなかったリシャルトの花冠を受け取ってくれた騎士だと気付かないまま、厚情に感謝し『領主の番として恥ずかしくない働きをしたい』とリシャルトは思うようになる。
発情抑制薬による衰弱から回復し始めたリシャルトは、ゲオルグの言葉に励まされ、書庫に籠り知識の吸収していく。
温泉の豊富な湯の行き先を調べた彼は、薬草園の技術者と協力し、温泉熱を利用した温室の建設を発案し実現させる。また、洗濯場で働く者の為に軟膏の恒常的な支給を提案し、働く場に希望を与える。さらに商店主達の諍いを画期的なアイデアで解決し、領民たちの信頼を得る。
リシャルトの努力は領民からの信頼と尊敬を勝ち取り、『劣等オメガ』という自己評価を克服し始める。そしてゲオルグへの想いを深め『本物の番』になりたいと心から願うようになっていく。
一方、ヴォルフスハイムは『火鼠』と呼ばれる盗賊団が跋扈。リシャルトは盗賊の遺留品である『革ポンメルの短剣』に違和感を覚え、鉱山視察などで得た知識で書庫の記録を掘り起こし、この短剣から火鼠の正体がクローヴィント兵だと突き止める。
これによりゲオルグは火鼠殲滅を成功させ証拠を固め、国境でクローヴィントとの会談に臨むことになる。この戦への旅立ちを前に、リシャルトとゲオルグは想いを通じ合い、結ばれる。
ゲオルグの旅立ち後、リシャルトはゲオルグの政務室でスノードロップの押し花を見つける。それは幼い頃に花冠の祝祭で騎士に贈った花だった。ゲオルグはあの日以来リシャルトを想い続け、「野心からの政略結婚」ではなく「愛ゆえに」自分を番に望んだことを知る。
ゲオルグが国境会談でクローヴィントの卑劣な罠にかかり、重傷を負ったという急報が入る。リシャルトはオメガの本能のまま、危機に瀕する番に会う為に単身で雪山を越え前線基地に向かう。
ゲオルグは瀕死の重傷を負っていたが、リシャルトが側にいることで、傷が驚異的な速度で塞がり始める。
この現象から、ゲオルグは歴史書に残る英雄ヨナスとその番の記述を再検証する。
『男性オメガの番の香気は、アルファの生命力と回復能力、戦闘能力を飛躍的に向上させる』という忘れられていた男性オメガの秘密に気付く。
国境紛争に勝利し、季節は巡り再び花冠の祝祭が始まる。
リシャルトとゲオルグは、ヴォルフスハイムを守る番として、領民の祝福を受け、未来へと歩き出す。