あらすじ
「何もかもつまらない。生きている意味が分からない。」
僕はそんな人間だ。
生きる意味とやりたいことを失った青年は、失うものが無いからこそ、ある日、宇宙へと繋がる不思議なエレベーターに乗る事を決意した。
数え切れないほどの星々を巡る旅に出る。
その時から青年は、星の旅人になっていた。
理不尽に振り回され、地球で疲れ果てた青年は、違う星を見て、自分の感情を整理したいと考えたのだった。
現実逃避をしたい——誰もが抱くその願いを、近未来と呼ばれる今では簡単に叶えることができる。
しかし、その近未来感が、日常に馴染みすぎた人々は、宇宙という広大な世界に目を向けようとはせず、ただ流されるままに生きていた。
考えることも放棄して、どんな現実さえも受け入れるような、そんな心が麻痺した人達ばかり。
青年はそんな現実に少し皮肉を抱きつつ、わずかな光を求めて一歩を踏み出す。
AIに頼らず、自分の頭で考える。
当たり前のことを忘れないために。
持ち物は空っぽのリュック一つだけ。
それでもどこかで、すべて大丈夫だと信じる自分がいた。
きっとこの逃避行には意味がある。少しでも光に手を延ばせれば、掴めたら。
微かな希望と期待を胸に、青年はエレベーターのボタンを押す。
降り立つ宇宙の星々には、個性が強すぎる住民たちが暮らしていた。
承認欲求にとらわれる者、数字だけで価値を測る者、お金だけの価値感、あらゆるものを消費し続ける文明の残骸さえも落ちている。
その住民たちと触れ合うことで、青年の心は少しずつ揺れ、時に戸惑い、時に温かさを感じる。匂いまでもが感情の意味なのだと感じるような個性の強い住人たちは、どこか地球の現実を映す鏡のようでもあった。
宇宙の旅で見たもの、青年が感じた微かな心の震え——。
──これは、“生きる理由”を探す物語ではない。
“それでも生きたい”と願う心の、静かで温かな証明の記録。