あらすじ
勘解由小路琢磨様は、格式ある家柄の若君でありながら、自然児のような自由さと無邪気さを持ち合わせた人物である。ある雨の日、彼は父君の外遊土産である舶来の傘を使いたい一心で、牛車を使わず徒歩で学校へ行くと宣言する。従者の米月小五郎は番傘を持って付き従うが、若君は嬉しげに水たまりで遊び続け、結局学校には行かず終日を過ごす。
また、夏のある日、若君は井戸端で乾布摩擦に励んでいたところ、迷い込んだ令嬢にその姿を見られてしまう。従者は慌てて下帯の着用を勧めるが、若君は「天上天下に唯一」と自信満々に拒否する。彼の健やかなる肉体と天真爛漫な振る舞いは、周囲の者たちに驚きと微笑みをもたらす。家族も使用人も、そんな若君の資質を理解し、温かく見守っている。
この物語は、若君の純粋な喜びと誇り、そして彼を取り巻く人々の愛情と忠誠を描いた、ひと夏の微笑ましい小話である。