あらすじ
――目を覚ましたら、路地裏でチンピラに締め上げられていました。
受験に失敗して引きこもり、深夜のネット論争だけが生き甲斐だった田中誠二(19)。ふとした迷信にすがり、紙に六芒星と「飽きた」を赤ペンで記して枕の下へ――次に目を開けた先は、石畳の異世界だった。
首根っこを掴まれ、骨がきしむ。視界が赤で染まるそのとき、路地の口に赤頭巾の少女が現れる。
紅の外套、二振りのナイフ、大きすぎる鞄。小細工を駆使し、でチンピラを制圧。誠二を手際よく治療すると、教会の場所を確かめ、無造作に“引きずって”去っていく。
彼女は名を明かさない。ただ**「弱者の勇気は、強者の武勇を凌ぐ」と言い、助けを乞うた誠二を見逃さなかった。
一方で彼女には目的がある。ギルドで訊き込みを続ける「勇者」探し**――アイギス国の勇者は魔王軍幹部を討ち、その足取りはこの国を経てどこかへ。さらに近郊の湿地には魔王軍の基地の噂。彼女は「自分は強くない」と言い切りつつも、目は獲物を逃さない。
現代日本の理屈と、異世界の現実。
拾われた浪人生と、赤頭巾の少女。
路地裏の救いから始まる邂逅は、勇者の行方と迫る脅威をめぐって、静かに物語を動かし始める――。