あらすじ
【あらすじ】
滝田音大のピアノ科3年の雅玖(がく・21)は、首席で容姿端麗なことから「ピアノの王子様」と呼ばれ将来を期待されているが、同棲中の恋人バイオリン科4年の光弦(みつる・23)を溺愛して過ごしている。
10月のある日、就活が全滅した光弦から「このままだと親から卒業後は実家に戻るように言われている」と告げられ、同棲生活を続けるために自分が稼げるようになろうと、大学から進められ一度は断った国際コンクールにエントリーを決める。
だがウワサでエントリーを知った光弦は、雅玖が黙っていた事に腹を立て、同級生で親友の奏多(そうた)の部屋へ家出してしまう。
奏多も光弦に想いを寄せていることに気づいていた雅玖は心配だったが、間近に迫った光弦の誕生日に送る曲の作曲中だった事から、曲が出来上がったら迎えに行こうと思っていた。
そんな中、雅玖はマンションの近くの交差点で同じ音大の作曲科3年の律葵(りつき)の不注意による交通事故に巻き込まれ、腕が潰れて意識不明となる。
事故の瞬間を偶然目撃してしまった光弦は半狂乱で救急車に一緒に乗り込み、病院へ向かうが、治療が終えた医師から「ピアノはもう弾けないし意識も戻るか分からない」と告げられてしまう。
ICUで目覚めた雅玖は、ベッドの傍で別人のようにやつれた光弦の姿を見て驚き声を掛ける。だが光弦は無反応で、近くにいるナースや医師達も誰ひとり雅玖の声に反応しない。
混乱する雅玖はベッドに横たわる痛々しい自分の姿が目に入り、今の自分は体から抜け出した魂だと覚り、ナース達の会話から自分の現状と、光弦が大学に行かず毎日お見舞いに通っていることを知り、絶望する。
魂の雅玖は、今の自分に気づいてくれる人を探して病院内を彷徨っていると、事故で足を骨折して整形外科に入院中の律葵を見つける。
強いシックスセンスを持つ律葵は、雅玖の気配を感じ取れることを知った雅玖は、憎い相手だが律葵の体を利用しよう考え、律葵の体の中に入り込もうとする。
だが入り込むと、ベッドで眠る雅玖の体の心臓が止まる事が発覚する。
それは雅玖の死を意味するので、光弦が心配で堪らない雅玖はどうするか悩む。
そんな中、偶然ロビーで律葵と光弦がすれ違う。
その時に律葵が「一緒に事故に遭った奴はまだICUで意識不明みたいだけど、運が悪い奴だ」と発した言葉を耳にした光弦は、事故の原因を作った相手が分からなかった光弦は全てを理解し、光弦に殴りかかるが、衰弱から倒れてしまう。
その事を知った雅玖は、光弦の今後の人生のために律葵の体に入る事を決心する。
そして律葵の住所を調べるとマンションへ向かうために、病院を抜け出して街を駆ける。