あらすじ
現代にダンジョンが根付いて10年。
ついに人類の手によってダンジョンは攻略され、その最奥で異世界のゲートを発見した。
人類最強の探索者は、異世界に渡ってから5年後に地上へ戻ってきた。
その世界をあるものは楽園と呼び、またあるものはこの世の地獄と表した。
異世界は男女比1:50の貞操逆転世界だった。
女だけがその世界の魔力に適応できるという噂が流れ、多くの女性探索者をダンジョンに向かわせたが、生きて異世界に辿り着いたものは少ない。
その場所に辿り着くのもまた命懸け。
そして辿り着いたとしても、男だからという理由で環境に適応できない。
そんな事実が判明してから10年後、男は再び異世界に向けて歩みを進めた。
安納樂、30歳。
かつては学生時代にダンジョンを攻略し、男という理由で異世界に拒まれた。
腕はあるが法に疎い。そんな男が、新たなビジネスチャンスを求めて旅立つ。
「今度は絶対うまくいく。大丈夫、資格も取ったし」
現実世界ではただのコインコレクター。
コインを売っても二束三文にもならず、しかし異世界では付加価値をつけて売り捌くことで活路を見出せるのではないか?
アラサーにもなってまともな仕事に就いたことのない樂。
世間はハズレ『個性』もちには厳しい。
異世界もまたその例に倣っている。
けれど古物商の免許が免罪符とばかりに樂は前を向く。
「あいつら元気かな。久しぶりに顔を見せに行ってやるか」
十年前。何も逃げ帰っただけではない。
役に立たないなりに、法に外れた世界で生きてきた自負があった。
新たな旅路に期待を胸に、異世界を歩く。
襲ってくるのは美少女モンスター。
強くて可愛いモンスターは『ウホウホ』としか話すことができず、そして現代ダンジョンのラスボスより100倍強い。
これが一般雑魚モンスターの強さ。
男で腕に自信があっても太刀打ちできない理由であった。
多くの男が推定幼女に傷を負わせることはできない。
しかし樂は違った。
個性『コイン』
これは相手の強さに関係なく、幸運値が対照を上回れば消滅、封印を施せる一発逆転できる強さがあった。
だがそれは素材の献上ができない、生活費を稼ぐことができない男として、現代でも異世界でも嫌われる諸刃の刃であった。
そのコインを、モノの価値のわからない女貴族に売り捌く。
古物商はそのための箔付でしかなかった。
「さぁ、交渉と行こうか」
やってることは詐欺に近いが樂には確かな確信があった。