あらすじ
六十五歳、五年前に妻は他界、今年定年退職した。趣味:盆栽と演歌。
二男一女を授かる。
佐藤重蔵(さとう じゅうぞう)は、どこにでもいる地味なオジサンだった。
実は元IT企業の社長であるがパソコンは苦手で、操作は秘書に任せていた。
温厚な人柄と誠実さ、人を見る目と先見の眼が異常にあり、誰からも愛され、カリスマ性だけで社長に成った超ラッキー男。
毎朝5時に起き、近所の神社でラジオ体操。昼は町内会の会計係として細かい帳簿をにらみ、夜はテレビの前で「水戸黄門」を見ながらお茶をすする。
そんな彼の平和な日常が、ある日、小学三年生の孫、美羽(みう)(娘の子)からの一言で崩れ去る。
「じいじ、このゲーム一緒にやって!」
それは、とあるオンラインバトルロイヤルゲーム。
名前は――『ゾンビ・オブ・パニック:最終戦線』。略して『ゾンパニF』。
最初は、操作すらままならず、ジャンプしようとして地雷を踏む。
銃を撃とうとして味方にパンチ。
回復しようとして自爆ボタンを押す。
だが、なぜかそのドジっぷりがネットでバズった。
「伝説のポンコツおじいちゃん、爆誕」
「これぞ和製Mr.ビーン」
「動く災害。でもかわいい」
気づけば、重蔵は“JZ-65”という名前で、世界中の視聴者を爆笑させるゲーム配信者になっていた――。