あらすじ
異世界召喚といえば、光る魔法陣にドラマチックな雷鳴、そして「勇者よ、世界を救ってくれ!」という壮大な使命というのは、まあ、よくある話だ。
だが現実はどうか。
時として、異世界への扉は近所の豪邸の裏口から入れたりする。しかも「歩いて五分」という、散歩感覚のアクセス距離で。
そして召喚理由が「鮭の塩焼きが上手に焼けません」という、魔王討伐どころか夕飯の支度レベルの切実さだったりするのである。
命がけの大冒険?涙と血にまみれた戦い?
とんでもない。
千田さん家の異世界では、最大の敵は「焦げた魚の皮」であり、最終ボスは「火加減の見極め」なのだ。武器は包丁とフライパン、防具はエプロン、必殺技は「愛情込めて中火でじっくり」である。
勇者の証?それは完璧な焼き色のついた鮭の切り身だ。
聖女の奇跡?それは誰もが「美味しい」と笑顔になる瞬間である。
かくして、史上最も平和で美味しい異世界召喚が、今日も千田さん家で繰り広げられているのだった。
■以前に書いたのを書き直しました。