あらすじ
俺の名前はイザナ。
かつて、殺しの世界で生きてきた人間だ。
戦場だろうが裏社会だろうが、標的を仕留めろと言われれば必ず仕留めてきた。
仲間は次々と死に、気がつけば第509期生で生き残ったのは、俺と野村リカの二人だけ。
もう十分すぎるほど血を見てきた。……だからこそ、心のどこかで思っていたんだ。
「いつか普通に、パンピーとして生きてみてえ」ってな。
けど、そんな願いを神様は笑ったのか。
任務の帰り、仕掛けられた爆弾で俺はあっけなく死んだ。
俺の人生はそこで終わるはずだった。
だが目を開ければ、そこは死後の世界。
頼りなさそうな天使に告げられたのは「あなたは異世界に転生します」という冗談みたいな言葉。
しかも俺に与えられた魔法適性は、まさかの生命魔法!?
殺すことでしか生きられなかった俺が、人を癒やすだと?
皮肉にも程がある。
……まぁそれでもいい。もう血の匂いはこりごりだ。
異世界でなら、誰にも縛られず、普通に生きられるかもしれない。
酒でも飲んで、飯食って、のんびり暮らす……。
そう決めて転生した俺を待っていたのは、意外な再会だった。
リンゴを抱え、涙目で俺に抱きついてきたエルフの少女。
その声を聞いた瞬間、俺は耳を疑った。
「……せんぱい!」
かつて地獄を共に生き抜いた、唯一の同期。
だが、彼女の口から語られたのは信じられない言葉だった。
「私、先輩を二十年間も待ってたんですよ!」
転生して、数時間しか経っていないはずの俺と、二十年を過ごしてきた彼女。
時間の歪み、不滅の呪い、そして生命魔法使いとしての新しい人生。
こうして……俺の異世界スローライフ(?)は幕を開けた。