あらすじ
天涯孤独の少女、小鳥遊紬(たかなしつむぎ)。
引き取られた親戚の家で虐げられ、ただ息を潜めて生きるだけの毎日。
そんな彼女の唯一の世界は、亡き母から受け継いだ、あらゆる香りを“情景”として感じ取れる不思議な嗅覚だけだった。
ある日、裏方として働くパーティーで大きな失敗をした紬は、絶望の淵で一人の男に出会う。
彼の名は、伊集院暁(いじゅういんあきら)。
巨大化粧品メーカーを率い、その冷徹さから“氷の皇帝”と畏れられる、美しき青年CEO。
人工的な香りを憎むはずの彼が、なぜか紬にだけ興味を示し、その場で強引に彼女を庇護下に置く。
「君を、ずっと探していた」――。
謎の言葉と共に始まった、豪華な屋敷での奇妙な同居生活。
暁が求めていたのは、彼の心を癒すたった一つの“聖域の香り”と、それを作り出せる紬の才能【聖女の鼻】だった。
才能だけが目的なのか、それとも――。
戸惑いながらも、彼の不器用な優しさに触れるうち、紬の凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
これは、自分の価値を知らなかった少女が、香りを武器に運命を切り拓き、
そして、愛を知らなかった氷の皇帝が、手に入れた宝物を世界一甘く溺愛するまでの、極上のシンデレラストーリー。