あらすじ
「君にしか、この曲は完成させられない」――亡き天才ボーカルEが遺した「愛の設計図」と「残響」は、その魂の欠片だった。
Eに顔立ちも声質も酷似するアキは、孤独な自身に与えられた唯一の使命として、遺品に隠されたEの最後のメッセージを解読していた。鍵となるのは、Eのブラウスの裏地に縫い込まれたリストバンド。その鮮やかな刺繍は、Eが**「再会の合図」と呼んだ、未完成の楽曲『残響のプロローグ』**のコード模様だった。
アキは、Eの匂いを纏い、すべてを清算しようとする元メンバーたちが集まるフリマ会場へと向かう。
「どうせろくな音は出ねえ。俺たちの音楽はもう、とっくに終わってんだ」
絶望に錆びついたギターパーツを並べるF、傷だらけのベースを抱えるD。彼らは、Eを追い詰めたという罪悪感から、音楽そのものを手放しに来ていた。俗世の喧騒が響くフリマ会場で、アキは真実を突きつける。
「Eさんは、あなたたちに、生き続けてほしかったんです」
アキがリストバンドを取り出し、そのメロディをハミングした瞬間、会場の喧騒は一瞬にして遠のく。それはEが命を懸けて託した、メンバーへの愛そのものだった。
「頼む...。Eの代わりに歌ってくれ。この曲を、完成させてくれ!」
罪悪感の鎖が打ち破られ、DとFは狂ったように楽器を接続し、音を繋げる。錆びたアンプから、Eの愛と命を乗せたメロディがフリマ会場を切り裂いた。その音は、周囲のすべての雑音を**「ミュート(消音)」**し、俗世の価値観を停止させる。
コアなファンが殺到する中、新生**『プロット』の魂のセッションが、伝説を再始動させる。フリマの片隅から始まった沈黙こそが、彼ら自身の「はじまり」であり、次なるプロローグへの「再会の合図」**だった。
これは、残された者の絶望と、死者の残響が織りなす、奇跡の音楽ヒューマンドラマ。