あらすじ
世界はまだあの名前を覚えているだろうか。悠久の時の中でなお輝きを誇るその姿を、世界を歩んだその足跡を、人も獣も関係なく彼女は記録した。
後世は彼女を忘れているだろう。けれど、その息遣いは今でも心に残っている。私たちこそがその証明なのだ。英雄の旅路も、埋もれてしまった遺跡の冒険譚も、そして穏やかな日常すらも。
ああ、偽りの中で生まれた生命よ。汝の探求は虚無のように果てしない。それは輝く見姿の影のように、その足元につきまとい、告げてくるのだろう。
私は愛する物語を語りに来た。この物語に救済はなく、舞台に上がったその時から誰も逃れられはしない。
「だから、恐れないで。この旅が喪失と別離の繰り返しだとしても、得られたことに変わりはないから」