あらすじ
日本から約数千キロ離れた世界一の人種差別大国、リーランド。この国で人材紹介会社に勤務する駐在員の真理子は、クライアントからの依頼により、現地在住でリーランド語に堪能な日本人通訳を探すこととなる。
上司の勧めで参加した日本文化月間で、在留邦人の近藤に関する手掛かりを得ると同時に、新聞記者である広瀬からリーランドの暗い実態を耳にする。
急速な経済発展の陰で、リーランドは隣国クフヤールから受け入れた難民に対し苛烈な人権侵害を加え、その実態を隠してきたのだった。
作家・若本聰として活動する近藤は、著書『リーランド・アンダーグラウンド』を通じて政府の裏の顔を暴こうとしていた。
彼の動機は社会への貢献か、それとも単なる自己顕示欲か。
彼が持ち込んだ火種はやがて灼熱の港湾都市・ハルバーチャへと繋がっていく。
真理子は、きな臭さを漂わせる近藤と関わったことを悔やんだが、ときはすでに遅かった。
回り始めた歯車は止まらず、彼女は否応なしに近藤を追うことになる。
彼の背後にちらつくリーランド移民警察の影は濃さを増し、次第に別の政府組織が見え隠れし始める。
リーランドを舞台に、真理子は中国人留学生のルー・ヤオと出会い、クフヤール人難民のアイリーンと友情を育んでいく。
謎めいた自称中国人シー・ジンピンが真理子にもたらすものとは、なんなのか。
真理子の選択によって、交差していなかった運命の糸が思いもよらない形で絡み合っていく。