あらすじ
かつて、世界は“視線”によって形作られた。
誰かに“視られる”ことで存在を証明し、
誰かを“視る”ことで、その在り処を肯定する。
そんな“観測”の神話に終止符を打ったのは、一人の少年――ユウだった。
彼は、視られたくないと願う存在と出会い、
“視る”ことと“視られないこと”の共存という奇跡を成し遂げ、
やがて旅を終えた。
時は流れ――
世界は“再構築”の時代へと歩み出す。
かつて定義に縛られていた存在たちは、
自由なまなざしの中で新たな形を探しはじめ、
“誰もが視ていい世界”が、静かに芽吹き始めていた。
しかし、“視る自由”が生まれたことで、今度は“視ることへの責任”が問われ始める。
「視ることを恐れる者」
「視られることを拒む者」
「視たいけれど、視線を持てない者」
――そう、世界はまだ“完成”していない。
そんな中、かつてユウのまなざしによって“存在”を与えられた少女・ナナミは、
再び“視る者”としての一歩を踏み出す。
彼女の隣には、旧・記録者機構の再編から生まれた“観測士”見習いの少年・カザマ。
「秩序」と「共存」のはざまで揺れる彼とともに、
ナナミは“視ること”がもたらす希望と痛みを抱きながら、
かつて誰も踏み入れなかった“未観測空白域”へと足を踏み入れていく――
そこにあるのは、
視られることを拒んだ存在でも、
視られなかった残響でもない。
それは、**“視線そのものを持たない存在”**だった。
“観測の神話”の次に語られるのは、
「視ることを忘れた世界」の物語。
視線の器は空いている。
いま、次のまなざしが、それを埋めようとしている――。