小説を読もう2025/10/04
あらすじ
静かな街で、僕はただ、終わりを待っていた。
僕は奏。壊れやすい羽根を持たない、普通の人間。そして、この世界で「オメガ」と呼ばれる、珍しくもない存在。重すぎる荷物を下ろしたくて、高いビルの屋上に立ったあの日、彼にはじめて出会った。
彼は優羽。空へと続く、大きくて美しい白い羽根を持つ獣人。でも、彼の瞳は、僕以上に深く傷ついていた。彼は「アルファ」なのに、誰にも聴かせない「唄」を胸に閉ざしていた。
彼は僕を止めに来たんじゃない。ただ、そこにいただけだった。
「…君のその唄、聴かせてよ」
「…それなら、君のその羽根、少しだけ、貸してくれる?」
飛ぶことを忘れたアルファと、生きることを諦めかけたオメガ。
二人は、お互いの壊れた部分で、ゆっくりと寄り添い始める。それは、恋なんかじゃない。でも、確かな温もり。彼の羽根に守られて、僕は初めて、自分の中にあった儚い唄を見つけた。
これは、墜ちる前に見つけた、小さな幸せの物語。
連載情報
ウェブ小説
配信言語

