あらすじ

勇者は魔王を討った。だが届いたのは凱旋ではなく、未払い通知。討伐報酬は「特別会計」の向こう側に消えていた。人魔双方の財布は、戦時を口実に商会へ吸われ続けている。怒りと疑念を携え、勇者は敵だった魔王と対座する。二人は剣を置き、帳簿を開いた。 掲げるのは「武器を麦へ」。武具への補助金を、農具・灌漑・道路へ振り替える。監査結界で資金の流れを晒し、倉庫札と封蝋で物証をつなぐ。議場では条文を一文ずつ整え、港では札の再利用を止め、工房では麦石と歯車符で工程を変える。 敵は魔物ではない。慣習、利権、そして諦めだ。噂と脅しと甘言が渦巻く中、数字を生活の言葉に訳し、票と印章を積み上げていく。粉が白い煙のように舞ったとき、人々はようやく「戦の終わり」を実感する。 剣より強いのは、帳簿と議場。勇者と魔王は、未払いを清算し、戦費を生活へ還すために同盟を結ぶ。次の予算編成が始まる。ここからが本当の戦いだ。

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カクヨム
カクヨム2025/10/03
  • 現在の作品武器を麦へ