あらすじ
「お義母さん、♡マーク」
湯気にゆらめく
小さな風呂場の灯り
「シャンプー切れてるわよ」
呼ばれて
扉を開けたその瞬間
背中いっぱいの
ピンク色の♡マーク
恥ずかしそうに笑う声
「うふふ」
私は、ただ立ち尽くす
くったくたの手に
洗濯の匂いとパートの疲れ
義父はもういない
なのに義母は
第二の青春を謳歌している
私はまだ
宿題と夕飯と明日の弁当に
追いかけられているのに
――なんだかなぁ
夜の風に
シャンプーの甘い香りが
ふと残って
心にひっかかる
♡マークが
むかつくようで
少し羨ましい
嫁と姑
笑いと溜め息のあわいに
今日も暮れていく