あらすじ
「お前のスキルは、腹の足しにもならない」
――その一言で、僕は全てを失った。
僕のスキル【種子生成】は、食料になる実を結ばない。農家の三男として生まれた僕に居場所はなく、たった一人、荒野へと追放された。
絶望の果てにたどり着いたのは、灼熱の太陽が支配する砂漠の国「サハラン」。そこは、枯れた大地に人々が喘ぎ、わずかな水さえも命綱となる場所だった。だが、その光景が僕の心に小さな光を灯す。
――前世で培った植物学の知識と、この“役立たず”の力でなら、あるいは。
これは、誰にも必要とされなかった僕が、砂の大地を緑の楽園へと変え、民を深く愛する孤独な王子ファリドと運命的に出会い、かけがえのない自分の居場所と愛を見つけ出す物語。
乾いた心に潤いをもたらす、優しくも力強い奇跡の物語を、あなたへ。
【登場人物紹介】
◆アレン(受け)
心優しく、控えめな青年。前世は植物学の研究者で、その膨大な知識を今世に引き継いでいる。掌からあらゆる植物の種子を生み出す【種子生成】スキルを持つが、食料になる実を結ばないため「ハズレスキル」とされ家族に追放された。植物への深い愛情を持ち、その力で人を救いたいと願う純粋な心を持つ。
◆ファリド(攻め)
砂漠の国「サハラン」の第一王子。冷静沈着で表情を崩さないため「氷の王子」と噂されるが、その内には民と国を憂う熱い情熱と深い愛情を秘めている。深刻化する砂漠化に心を痛める中、アレンという奇跡に出会い、彼こそが国と自分自身にとって唯一無二の希望だと確信する。