あらすじ
水と運河の都「清明(せいめい)」。この世界では、心を込めて書かれた文字に「文霊(もんれい)」と呼ばれる小さな力が宿り、人々の生活に彩りを与えている。
そんな都の片隅に佇む小さな工房「墨香堂(ぼっこうどう)」。
店主は、若き女性書工(しょこう)のリン。彼女の書く文字は、都一番の天才が書くような絶大な力こそないが、人の心にそっと寄り添うような、陽だまりのような温かさを持っていた。
今日もまた、様々な悩みを抱えた人々が「墨香堂」の引き戸を叩く。
恋に悩む茶屋の娘、スランプに陥った職人、喧嘩してしまった兄弟…。
リンは依頼人の心に耳を澄ませ、最適な一文字を考え、静かに筆を執る。
これは、一人の少女と、食いしん坊な神獣の仔、そして文字が紡ぐ小さな奇跡の物語。
一話読むごとに、あなたの心にも温かい灯りがともる、そんな優しい物語。