あらすじ
王国が誇る新制度「気象官」。
その新人・リラは、魔竜嵐の通り道にある辺境砦・ガルツに配属される。
剣も魔法も持たない彼女の武器は、等圧陣を刻む観測杭、風の微細な変化を嗅ぎ分ける風標(ウィンドレット)、そして体内に宿る“気配感覚”。
赴任初日、回帰渦の前兆を掴んだリラは、現場主義の騎士隊長ヴァイレンと衝突しながらも、嵐の正体が「自然災害の皮を被った人為的妨害」であることを見抜く。
密輸ギルドの暗躍、結界塔の異常停止、領主家の内紛──人の心もまた、気圧のように読みづらい。
リラは観測網を再構築し、雲礫(クラウドシード)で魔力核を崩し、山脈に風道を穿つ。
「たった一つ、風向を変えれば――戦も、街も、未来も変わる」
辺境を揺るがす嵐の目に飛び込む少女の決断が、王都と辺境、そして彼女自身の運命を大きく動かしていく。