あらすじ
「なぜ、自分の恋人を殺したんだ?」
取調室。無機質な蛍光灯が天井からかすかな熱を放ち、薄汚れた壁や机を鈍く照らしている。刑事は机の上で手を組み、じっと男を射抜くように睨みつけた。
男は無表情のまま、伏し目がちに机の下――自分の指先をじっと見つめている。
重苦しい沈黙が室内に張りつめ、じわじわと湿度を上げていくようであった。刑事が小さく息を吐き、背もたれに体を預けると、パイプ椅子がギシリと音を立てた。そのとき、男が静かに口を開いた。
「ここは……夢の世界なんですよ」
その言葉に、刑事は大きなため息を吐いた。そして、皮肉な笑みを浮かべた。