あらすじ
山里の小さな薬師家で育った瑠璃(るり)は、薬草の匂いに敏感で、人の体から残る匂いで過去に使った薬や治療の痕跡を読み取る不思議な力を持つ。ある日、運命に翻弄されて王都の宮中に売られ、下位の薬局「薬匣(やくばこ)」で働くことになる。
雑用と名もなき患者の治療に明け暮れる日々だったが、宮中の若き側近が突然倒れる事件が発生。表向きは食中毒とされたが、微かな薬草の匂いが瑠璃の鼻を突く。匂いをたどるうちに、宮廷に伝わる「禁じられた薬」の存在や、王家に秘されてきた古い治療法が消されていることに気づく。
瑠璃はひそかに調合と調査を進め、書庫の若き学者や冷徹に見える侍医、秘密を守る御役人と関わりながら、宮廷に潜む陰謀の一端を暴いていく。