あらすじ

戦乱の世 この世はまさに地獄だった。 人々は戦や飢饉、病に自然災害。 その命をあっけなく失っていく、死が身近な世の中だった。 —――奥州の山奥、雨に濡れた山道を一人歩く僧の姿があった。 背には破れた薬袋、腰には見慣れぬ木箱。法衣は所々が焦げ黒くなり 裾が破れみすぼらしくも見える。 その歩みはただの旅僧にも見える。錫杖を持つその手だけは少し清潔を保ち、日焼けをした肌と数珠がだらりと垂れているのが見えていた。 やがて近くの村の民が3人ほど輪を囲み、道端に横たわる一人の男を見つめていた。 身なりは商人のようだが、荷車は壊れ積み荷が荒らされたように散乱し、右足が不自然に折れ曲がり、肩には獣に裂かれたような深い傷が残っていた。 「こりゃダメか、可哀そうに」旅人の一人が思わず言葉を放つ。 商人の無残な姿を前にそう思うのも仕方ない。 すると若い僧はため息をつき、膝をついた。 「...…すまぬがどいてはくれぬか?」 呟くと僧は腰の見慣れぬ木箱をおろし始めたのだ。 この時まだ村人たちは知らないのだ。 この奇妙な若僧が見せる医術という奇妙な技とその知識を。 そしてこの僧との出会いが、やがて里山の暮らしを変え、地方の小さな村をも飲み込む戦国の荒波をも揺るがすことになることをーーー

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小説を読もう2025/09/05
  • 現在の作品陣医ー戦国の救命医ー