あらすじ

真夜中の礼拝堂に小さな悲鳴が響く。 教会の神父、石蕗 紅夜(つわぶき こうや)は毛並みを銀色に輝かせる狼に追い詰められていた。紅夜は最後に一緒にいた人物について思い出す。 高木 蝶々(たかぎ ちょうちょう)。 旅人の青年。そして、ルー・ガルー。…彼は、狼男だった。 人間としての理性を取り戻した蝶々は、自らの首に下がっていたネックレスを外して紅夜の手に握らせる。 「これで、俺を撃ち殺せ。」 ネックレスのトップは、純銀の弾丸だった。 紅夜は蝶々を殺すことを拒み、生きていることを申し訳なく思う彼を教会で保護することに決めた。蝶々は言う。「村人を襲うことがあれば、今度こそ殺してくれ」と。そのときは自らも死のうと、紅夜も思った。 村の子供たちとのピクニック。不意打ちのキスは、あまりにも甘く。 雨が降る夜のバスルーム。怖かったはずの雷が、二人の背中を押す。 お月見の森。ルー・ガルーの子供たち、ルイスとアリスに出会った。 ルイスとアリス。そして、蝶々。ずっと紅夜一人だけだった教会は随分と賑やかになっていく。そんな、ささやかなしあわせが満ちて凪いだ村に一石が投じられる。 村に紅夜の兄、月夜(つきよ)が訪れた。月夜は紅夜という弟を「悪魔の子」と言って蔑んだ。 紅夜が生まれた石蕗家は爵位のある名家だった。そして代々、家督は長女が受け継ぐ掟だ。 大事にされている石蕗家の長女、白夜(びゃくや)の体調があまり良くないと月夜は言う。彼らの両親は悪魔崇拝で、紅夜の血液を魔術に使うため必要としているのだ。 紅夜は両親の性魔術の行為によって生まれた、子どもだった。 悪魔への供物のため、幼いころから血液を採取されていた紅夜。それが再度必要になり、月夜が紅夜を迎えに来たのだ。 紅夜は決別のために、月夜と共に実家に向かうことを決めた。 そのあとをつけるのは、蝶々。そして、ルイスとアリス。紅夜を守るために、三人は彼に持たせた匂い袋を印として追っていく。 紅夜の実家で行われるはずだった黒魔術の儀式は、狼の姿をした蝶々たちの乱入により防がれた。 無事に4人で村に帰ると、無人のはずの家に明かりが灯っていた。訝しながら様子を窺うと、そこには姉の白夜の姿があった。彼女は、石蕗家から逃げてきたという。 天真爛漫な白夜はあっという間に村人たちと仲良くなるが、それと同時に村人の不審な死が続くようになった。 その死体は、全身の血を抜かれていた。 やがて白夜はその残虐な素性を露わにする。 彼女は白夜に姿を変えた、血液を飲み生き永らえる吸血鬼だった。吸血鬼が言うには、白夜は幼いころにすでに亡くなっているらしい。 彼女が村の子どもに手をかけようとした刹那、紅夜は蝶々からもらった純銀の弾丸で吸血鬼の胸を打ち抜いた。 人を殺めたという罪により、紅夜は村を追放される。 だが、その旅路にはルイスとアリス。そして、蝶々の三人が共にいるのだった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/09/04
  • 現在の作品遠雷のルー・ガルー