あらすじ

花街の路地で、薬草と砂糖を秤る日々を送る少女、璃月(りげつ)。ある夜、路上で人さらいに遭い、帝都の後宮へと売られてしまう。目立たぬ日々を望む璃月だったが、彼女には特別な才能があった――匂いと色を記憶し、薬剤の性質を見抜く感覚だ。 後宮での些細な“毒味役”の役目が、やがて皇子の体質、妃たちの秘密、そして後宮を揺るがす薬の密売組織に繋がっていく。璃月は、寝所に残された柑橘の皮や袖に染みた油の匂い、口元の鉄味といった断片から、言葉にされない嘘と陰謀を解き明かしていく。しかし、真相に近づくほど、璃月自身の出生と、かつて失った家族に繋がる“ある薬”の存在が浮かび上がる――。 冷静だが温かい視線で人を見つめる璃月、秘密裏に護る宦官の壬(みん)、後宮の常識を体現する医官白蔵(はくぞう)。薬の匂いが、血と嘘と祈りの交差する後宮の闇を暴く。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2025/09/04
  • 現在の作品香痕の薬師少女――後宮に潜む匂いを解く