あらすじ

沈黙の報告書 ―川崎ストーカー殺人事件―

電話の声は
記録に残らず
紙にも 画面にも 刻まれなかった

幾度も繰り返された
「助けて」という囁きは
署内の壁に吸い込まれ
沈黙に封じられた

割れたガラスの破片は
真実を映すはずだった
けれど
指先で拾い上げる者はいなかった

床下の闇が
すべてを呑み込むまで
時間はただ
無関心の時を刻んだ

そして
遺された父の問いかけに
報告書は答える――

「不十分」
「不適切」
無機質な文字の影に
ひとつの命の重さが隠されている

謝罪の言葉は
冷たい廊下に響くけれど
娘の声は もう戻らない

だから
この沈黙の報告書を
未来の警鐘として
決して閉じさせてはならない

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2025/09/04
  • 現在の作品沈黙の報告書 ―川崎ストーカー殺人事件―