あらすじ

『異邦人』

母の棺の前で
涙は来なかった
乾いた瞼に
太陽だけが重くのしかかる

愛も、快楽も
砂に消える波音のように
ただ一瞬、肌を濡らし
次の瞬間には忘れてしまう

灼けつく白い光の下
引き金は思考より先に
汗の雫とともに落ち
世界は取り返しなく裂けた

人々は言う
「冷酷だ」「異常だ」
だが私には
ただ空と海と太陽しかなかった

牢獄の夜
私はようやく気づく
宇宙は私を愛さず
また憎みもしない

無関心の優しさに
身を委ねるとき
死は恐怖ではなく
静かな合図に変わる

明日、刃が首を断つとしても
私は満ちている
母がそうであったように
太陽の中で、世界と和解して

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2025/09/04
  • 現在の作品『異邦人』