あらすじ
真壁蒼と彼女――望月楓花は、同じクラスで席も隣同士であるだけでなく、隣に住む隣人でもあった。
もともと交流のなかった二人は、図書館での偶然の出会いによって初めて交わりを持つことになった。
その思いがけない助けに報いるために、楓花は毎日自らの手で蒼のための食事を用意し始めた。
簡素な弁当から放課後の家庭的な夕食まで、ありふれた日常の中で二人の距離はそっと縮まっていった。
長く独りでいることに慣れていた楓花は、初めて誰かといることの安堵と温もりを感じた。
表面は冷たく無口な彼女だったが、実は優しさと純真さを内に秘めていた。
そして蒼もまた、いつの間にか彼女の存在に慣れていった。
それぞれの世界で孤独を感じていた二人は、ふとした瞬間に互いの生活に入り込んでいった。
これまで誰にも語られなかった「初めてのこと」たちが、次第に二人だけの記憶になっていった。